2008年06月10日

コーヒーの酸味について考える・・・

コーヒーの酸味についてはこれまでも時々お話ししてまいりましたが、久しぶりに「コーヒーの酸味」についてまた考えてみたいと思います。

普段お店で接客していても、インターネットのお客様とお話ししても、また業務用のプロのお客様と打合せをしていても、「酸味のあるコーヒーは嫌い!」という方が非常に多いように感じます。
コーヒーの味わいの好みも国によって様々なのですが、特に日本では酸味のあるコーヒーは敬遠される傾向が強いように思います。

コーヒーは元々コーヒーチェリーというサクランボに良く似たフルーツから生まれます。フルーツから生まれるわけですから、本来フルーティーな酸味があっても不思議ではありません。
実際に上質なコーヒーの多くにはフルーティーな香味が存在しますし、世界各地のどのようなコーヒーコンテストであっても、上質な酸味を伴わないコーヒーは高い評価を得られません。

では、なぜ日本では酸味のあるコーヒーが敬遠されるのでしょうか?

実はこの傾向には、これまで日本のコーヒー業界が抱えてきた様々な問題が凝縮されています。

日本の多くの方が嫌う「酸味」は上質なコーヒーが本来持っている「酸味」ではありません。
コーヒーがフルーツから生まれるということに由来する「酸味」ではなく、
元々の品質が低く、腐った豆や未熟豆などが混入していたり、焙煎から時間が経ちすぎ、コーヒー
が酸化してしまい、結果としていやな「酸味」が出ている場合がほとんどのように思います。
(コーヒーを飲むと胸がやける、というイメージも同じ原因によると思います)

日本はコーヒー消費大国の一つですが、レギュラーコーヒー用の高品質なアラビカ種豆が以前から
そんなにたくさん輸入されてきたわけではありません。日本では歴史的にインスタントコーヒーや
缶コーヒーなどに使われる低規格品のコーヒーが圧倒的に多く流通してきました。
そのようなコーヒーには欠点豆の混入も多く、いやな酸味も出やすいのです。
日本に上質なアラビカ種コーヒーが数多く輸入されてくるようになってきたのは、実はこの10年ほどのことです。

また、コーヒー豆には精油成分がふくまれていて、これは本来コーヒーの香味が濃縮されたアロマオイルのようなものでもあるのですが、焙煎後2週間くらいを境にこの油分が酸化をし、本来持っていた豊かな香味は薄れ、酸化によるいやな酸味などが出てきます。
(この劣化のスピードは保存温度にも大きく左右されますので、それを遅れさせるためにも保存はできるだけ低温の冷蔵庫や冷凍庫をお勧めしています)
真空包装などのパッケージであっても、この風味の消失と劣化から逃れることはできません。(よく賞味期限1年なんていうコーヒーを見かけますが、ちょっと信じがたいです・・・)
販売優先の国内事情の中で、この基本的な部分はほとんど無視されてきたということも、残念ながら事実だと思います。

上質なコーヒーには、様々な香味が一緒に存在しています。決してただ苦い、ただ酸っぱい、ただ渋い、などというような一辺倒な味わいではありません。
それはナッツのような香ばしさであったり、ココアや蜂蜜のような甘さであったり、そして酸味もコーヒーの香味を構成するとても重要な部分です。レモン、オレンジ、リンゴ、ブルーベリーなどのようなフルーツ系の酸味でであったり、様々な花のような香りであったり・・・実に様々な個性を持った酸味があります。

もし、酸味のあるコーヒーがあまり好きではない!という感覚を漠然とお持ちでしたら、ぜひ、上質なスペシャルティコーヒーの中からフルーティーなタイプのものを一度お試しになってみてください。
例えば、エチオピアの南部シダモやイルガチェフェ、例えばアフリカのケニア、ルワンダ、マラウィ、例えば中米のグァテマラやパナマの上質な原種タイプのコーヒーを・・・。
きっとこれまでのイメージとは違ったフルーティーで素敵なコーヒーと出会えるかもしれません。

「酸味」と一言で言っても、良い酸味も悪い酸味もあります。良い酸味の中にもとてもたくさんの様々な酸味があります。それはきっと皆様のコーヒーライフをさらに豊かにしてくれるとても重要なファクターになるはずです。

そう、だってコーヒーはフルーツから生まれているんですから!!


コーヒーは香りの熟成カプセル!

コーヒーを買う時、みなさんは「豆」それとも「粉」で買いますか?
このブログでも何度かコーヒーの豆と粉についてお話しをしてまいりましたが、
今回は、再度コーヒー豆について考えてみたいと思います。

一般的には「粉」で買われるお客様の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
豆で買った方が味も香りも良いのはわかっていても、
忙しい日常の中で飲むコーヒーですから、なかなか豆で買うというのも・・・、
なんて方が多いんだと思います。

そんな多くの方のご意見も知りつつ、
今回、再度、あえてコーヒーを買う時は「ぜひ豆で!」というお話しをさせていただきたいと思います。

コーヒー豆というのは「香りの熟成カプセル」のようなものなんです。

どういうことかといいますと・・・、

コーヒー豆は焙煎後、炭酸ガスの放出と酸素の吸収をしながら熟成をしていきます。
これはいわゆる「酸化」の過程。酸化と言うと聞こえは悪いのですが、焙煎後翌日〜7日程度までは豆が熟成され、コーヒーの香味はむしろ強くなっていきます。
その後香味は徐々に衰え、焙煎後2週間を過ぎますと香味は劣化していきます。
コーヒーが劣化しますと、本来持っていた豊かな香味は薄れ、酸化によるいやな酸味などが出てきます。
この熟成〜劣化のスピードは保存温度にも大きく左右されますので、劣化を遅れさせるためにも保存はできるだけ低温の冷蔵庫や冷凍庫がいい、ということになります。
(もちろん冷蔵庫などでの保存の場合は匂い移りを防ぐ密閉容器での保存が大切、また露滴防止の点からも必要量を取った後は、すぐに戻してくださいね)

但し、この熟成過程は、「豆」の状態でしかおきません。
豆が「香りの熟成カプセル」だという理由はここにあります。
粉挽きにしますと空気との接触面積が一気に10倍以上となりますので、熟成というよりもその後は劣化の方向に進みます。
また、粉挽きは焙煎後、早ければ早いほど良いのか?と言えば、これがまたちょっと違います。
実は焙煎直後の熟成されていない豆を粉挽きにしてしまうと、熟成を飛び越え、一気に酸化だけが進み、コーヒーの劣化をむしろ早めてしまうんです。
粉挽きにする場合は、コーヒーの味が熟成され、香味が馴染んだ状態で粉挽きにすることが重要なんです。
ちなみに香味の馴染んだ状態で粉挽きにされたコーヒーであれば、冷凍保存で1ヶ月程度は美味しく召し上がっていただくことが可能だと思います。
(味覚の感じ方には個人差がありますので、あくまでも一般的なものとご理解ください)

焙煎仕立てというと聞こえはいいのですが、粉挽きの場合は少し注意が必要なんですね。
(というわけで、当店では粉挽きの場合は、焙煎後一晩以上コーヒーを寝かせ、香味が馴染んでからの粉挽きをさせていただいております。)

コーヒーの賞味期限などは、大手流通品などでは、一般的に「1年」程度が設定されています。
これは単純にコーヒーが「傷まない期間」と理解した方がいいと思います。「美味しい期間」ではありません。
真空パックやアロマブレスなど特殊な保存袋を使えば酸化はある程度は抑えられますが、香味もまったくそのままか?と言えばそれは全く持ってナンセンスだと思います。有り得ません。
コーヒーを美味しく飲もうと思えば、焙煎から概ね1ヶ月以内、少なくともご購入される時には焙煎から1週間以内のものを選ぶことが大切だと思います。

さて、香りの熟成カプセルである「コーヒー豆」であれば、コーヒーの香味は時間経過と共に熟成され、焙煎から3日後、1週間後、2週間後と同じコーヒーでも様々な顔を見せてくれ、楽しむことができるはずです。

さらに冷蔵、冷凍保存などをされれば酸化スピードはゆっくりとなり、個人的には常温で保存するよりも旨みが増していくような気さえします。(当店では勝手に「低温熟成」などと言ってますが)

以前もご紹介したように、豆でコーヒーを買うということは、このような「美味しさ」をストレートに楽しむことと同時に、自分でコーヒーを「挽く」という作業によって、コーヒーを挽く時の「香り」も楽しむことができます。
コーヒーの香りは実際にコーヒーを淹れる時よりも、豆を粉に挽いた時の方がはるかに強い芳香を出します。
専門的に言えば、粉に挽いた時の香りをフレグランス(またはドライアロマ)、コーヒーを淹れた時の香りをアロマ(またはウェット・ブロークンアロマ)と言って明確に区別しています。
コーヒーを買う時にはできれば「豆」で、そしてそれを挽くのもぜひご自分でされることをお勧めします。
コーヒーの最も豊かな香りからその味わいまで独占することができるはずですよ!

なんだか、ちょっと難しいお話しになってしまいましたが・・・
豆でも粉挽きでも、最高の状態でお届けいたしております!
どうぞ最高のコーヒーライフを気軽にお楽しみくださいませ。
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