2008年07月22日

世界のコーヒー需要から・・・

コーヒー動向.jpg
世界のコーヒー需要動向表(クリックすると大きな画像が見られます)

一覧からもわかるように、日本はアメリカ、ドイツ、ブラジルに次いで世界第4位のコーヒー消費国です。
しかし、ここ数年コーヒーの世界的需要に大きな変化が起きています。
新興国での消費がものすごい勢いで伸びています。
中でも資源バブルに沸くロシアの伸びは凄まじく、この10年間で実に3倍以上、数年で日本を追い越しそうです。
それ以外にもベトナム、タイ、インド、インドネシア、ブラジルなどの伸びが大きく、
経済新興国の旺盛な需要は日本のコーヒー業界にも少なからず影響を与えてきています。
経済新興国と言えば、お隣の中国も外せないところですが、伸びているとは言えまだ日本の10分の1程度の需要量でさほど大きなものとはなってきていません。
ロシア以外の伸びの大きい国は自らコーヒーの生産を行なう国でもあり、コーヒーに馴染みが深いことが、需要増に直結しているのかもしれません。
今後、これに加え中国が凄まじい勢いでコーヒーを消費し始めたら・・・、考えただけでちょっと怖くなってしまいます。

10年ほど前、20世紀の終わりごろコーヒーの世界ではベトナムの生産量が一気に世界第二位まで伸び、供給が需要を極端に上回る状態でした。コーヒーの買付価格は暴落し、世界各地の生産者にも大きな影響を与えました。
一転、21世紀に入ると、スタバなどの外資系コーヒーチェーンのバイイングパワーが世界のコーヒー産業を席巻し、各地のコーヒー買付価格は一転高騰し続け、またこの数年は投機筋と見られる資金の流入も増え、価格上昇のピッチを早めています。
コーヒーの生産現場ではこの不安定な価格の乱高下に長年一喜一憂し、悩まされてきています。
コーヒーは実は原油に次ぐ取引価格を誇る国際商品。原油の投機筋による高騰が毎日のようにニュースになっていますが、コーヒーにも似たような現象が起こりつつあるようです。
コーヒーの買付価格がある程度上がることは産地で低賃金にあえぐ農家さんたちにとっては朗報となりますが、日本のような消費国にとっては厳しい状況になってきています。
既に上質なもの、希少価値のあるようなものでは日本企業はいわゆる「買い負け」をしてしまうことが起きています。
当店でも以前から仕入れていたインドネシア産のコピ・ルアックやセントヘレナ島のコーヒーはなかなか入手すること自体が困難になってきてしまっています。
旺盛な消費意欲と資金に後押しをされ、現地で札束をつむような外資勢に太刀打ちできない状況が生まれてきています。
何事にもものには限度があると思うのですが、無分別な価格競争は産地での優良なコーヒー生産にとって悪影響すら及ぼす可能性があります。
日本の輸入商社さんなどは長年に渡って現地農家、生産組合などと上質なコーヒーの栽培、精製に協力し、パートナーシップの確立のもと、商品供給を行なってきました。
しかし、現在そのような長期のパートナーシップをもとにした商取引よりも目の前のより高い買取価格の方が優勢になりつつあります。
さほど上質なものでなくても高い値がつくのであれば、苦労してより良いものを作ろうとする生産者は減り生産基盤自体を破壊してしまいかねません。
長い視点でより良いものの生産とそれに見合う価格の提供を行なうというのが農産物取引の正しい姿だと思うのですが、現在のコーヒー業界はその正反対の方向に進んでいるようにも見えます。
これはバイオ燃料などに関連した穀物価格の高騰などにも似たものがあるように思うのですが、このような流れは一時的には農家の収入増には繋がっても、結局のところはバブルですから、本来の価値を見失って踊ってしまえば、後で大きなシッペ返しを受けてしまうかもしれません。
また、先日お話ししたエチオピアの残留農薬の問題のように、国際的に見てとても厳しい基準を設けていることもコーヒーの輸入には大きな足かせになりつつあります。日本は国産神話のようなものが非常に強く、外国産の農産物に一種のアレルギーのようなものがありますから、やむを得ないのかもしれませんが、コーヒーのようにほぼ100%外国からの輸入に頼っているものの場合、もう少し現状の世界的な枠組みや実際の健康への影響などを考慮して基準を考えてもいいのではないでしょうか・・・。
気が付いたら日本には優良なコーヒーはほとんど入らなくなってしまった・・・、なんてことだけにはならないで欲しいものです。


2008年07月20日

エチオピアモカ、残留農薬問題について

エチオピア、またイエメンのモカから残留農薬が検出されたとの報道がなされ、その後コーヒー業界がにわかにざわついた状態になっています。
いずれも日本では使用が禁止されているもので、農水省が実施するポジティブリスト制度に基づき、新たな輸入に対して非常に厳しいチェックがされるようになっています。

一旦農薬検出がされますと、同地域の同商品(今回の場合はコーヒー生豆)輸入時の検疫は非常に厳しくなりますので、ほぼ全ての輸入業者が輸入自体を見合わせています。(一旦税関に持ち込んだ後、農薬検出がされてしまいますと、輸入業者の責任で全量廃棄処分をしなければならず、多大なリスクとなってしまうためです)
ちょうどエチオピアのニュークロップ(新豆)が続々と入荷してくる時期なのですが、現在、新たな輸入はほとんどストップした状態で、当店でも物理的に在庫がなくなってしまうことと、安全性の面から、先日よりエチオピアモカのご案内を休止しております。

そもそもこの地域は伝統的にあまり農薬に頼らない農業をおこなっている地域であるとされてきましたが、
一転、禁止農薬が検出されたことに業界では大きな驚きを受けました。
また、いずれもコーヒー発祥の地と言われる場所であり、1000年の長きに渡って大切に伝えられてきた伝統農法を舞台にして事件が起きたことも非常に衝撃的でした。

事態を重く見たコーヒー業界では、大手輸入業者などが現地調査などを行っており、全容はまだ解明されておりませんが、現在確認されている情報としては、生豆自体ではなく、どうも生豆を入れていた麻袋に使われた殺虫剤が検出されたのではないか?と言われています。
エチオピアにはコーヒーを入れる麻袋の製造業者がほとんどなく、主にバングラディッシュからの輸入に頼っています。
バングラディシュではマラリアの発生が現在問題となっていて、製造された麻袋にもマラリア対策のための殺虫剤が掛けられていたようです。

これはこれで、やはり問題だと思うのですが、今回の残留農薬問題ではいささかやり切れない気持ちにもなっているんです。
残留農薬は確かに良くない。でも例えばアメリカのコーヒー生豆に関する残留農薬の基準は日本の2〜3倍も許容量が多いんです。アーモンドなどに至っては10倍もの許容量の差があります。
今回の残留農薬問題と輸入制限を行っているのは世界中で日本だけです。
ポジティブリスト制度はより安全な食品を目指すために作られた制度ですが、わずかな農薬検出に対してもなにもかも十派一からげで、結果的に輸入を制限してしまう制度でもあります。
今回輸入制限されてしまっているコーヒーの中には、日本の有機栽培認証制度「JAS」や他の認証を受けたものも多数含まれて居ます。JASで有機栽培と認証されたものまでが残留農薬の危険がある、と国が言うのは明らかにダブルスタンダードで、苦労して栽培した農家のみなさん、それを一所懸命サポートし、買付けた輸入業者の方々、そしてそれを心待ちにしている消費者に対しても不誠実極まりないものと思えてしまいます。
コーヒーの生豆は生のままでは食べません。200度以上の熱処理をしてから初めて食品となります。
残留農薬検査をするのであれば、生豆ではなく焙煎された豆での評価をすべきではないでしょうか?
世界的なコーヒー需要の高まりの中でエチオピアなどのコーヒーは特に人気が高く、買付自体が年々非常に競争の厳しい状況になっています。
そんな中で世界的に見て、日本だけがちょっと滑稽にさえ映ってしまうような基準で輸入制限をするというのは、今後の現地とのパートナーシップなどから見ても非常にマイナスに思えます。
日本には今後上質なエチオピアやイエメンのコーヒーはなかなか入って来なくなるか、もしくはこれまででは考えられないほど高い値段を出さなければならなくなるか、いずれにしても暗澹たる気持ちになってしまいます。

一刻も早い自体の改善とエチオピア、イエメンコーヒーの輸入再開を望みます。
イルガチェフェ、ハラー、マタリ、イスマイリ、ets.のないコーヒーなんて、寂しすぎますよ!!

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