2008年11月10日

イエメン モカ ハイマ

イエメンはエチオピアと並びコーヒーの原産地、また世界最古のコーヒー農園のある場所として知られるコーヒーの聖地です。
日本でアラビアというと荒涼として砂漠というイメージがありますが、イエメンは「緑のアラビア」と言われるほど起伏に富み、水資源にも恵まれた国なんです。2000M級の山々が連なり、そのあちこちで山肌に張り付くようにコーヒーの段々畑が作られています。
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(雲海の上、山肌に広がるコーヒー畑)
1000年近く前から脈々と受け継がれてきた先祖伝来の品種と栽培方法が今も頑なに守られています。

ブログでも何度かお話しさせていただいておりますが、「モカ」とは品種や産地の名前ではありません。
かつてイエメン南西部に存在したコーヒーの積出港の名前です。(砂が堆積してしまい港として機能しなくなったため、現在はつかわれていません)
17世紀に入るまで、コーヒーはオスマントルコなど、この地域を支配するイスラム諸国の重要な輸出品であり、苗などの持ち出しは厳禁されていました(16世紀くらいまでコーヒーの国際価格は金よりも高かったそうです!)。唯一の産地であったエチオピア・イエメンで栽培・収穫された全てのコーヒーは唯一の積出港・モカに集められ、そこから他のイスラム諸国やヨーロッパ世界に輸出されて行きました。このようなことから、いつしか「モカ」とはコーヒーそのものを表す言葉として世界に知られていったというわけです。
ちなみに、日本ではモカとは慣習的にエチオピア、イエメン両国で生産されたコーヒーの総称として通用していますが、ブラジルやヨーロッパなどでは今も「コーヒーそのもののこと」または「上質なコーヒー」という意味で使われています。(直火式のエスプレッソ器具で最も有名な商品名に「モカ・エキスプレス」というのがありますが、あのモカもコーヒーそのものを表しているわけですね)
実際にはエチオピアとイエメンではだいぶコーヒーの品種や味わいは違いますし、またエチオピアの中でも東部のハラー、南部シダモ、西部カファ、イエメンでもマタリやイスマイリ、ヤッフェ、ハイマなど様々な産地、そして品種が存在しています。日本でイエメンモカと言えばマタリ!ということになってしまいますが、実際にはイエメンモカにもたくさんのものがあるんです。

この1000年にも渡る長い歴史を持つイエメンコーヒーですが、実は近年とても厳しい状況に置かれてしまっています。
内戦などの影響で国内経済がガタガタになってしまったことをきっかけに、原油高に沸くサウジ、UAE、カタールなど近隣の産油国への出稼ぎが増え、若い労働力が激減してしまっていること、手間のかかるコーヒー栽培よりも簡単で身入りのいいカート(噛みタバコのようなイエメン独特の嗜好品です)への転作が増えていることなどなど・・・。放棄されてしまう畑も多く年々良い品質のものが少なくなってきています。
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(おじさんが持っているのがカート。噛みながらほっぺにどんどん貯めて行きます。左のほっぺがカートでこぶのようにふくらんでいるでしょ!)
砂漠から岩山、深い渓谷、2000M級の山々などが続くイエメンの交通事情は悪く、伝統的な人手だけに頼った栽培、精製方法などもあって、腐った豆や未熟豆などの欠点豆の混入が元々多い地域ですが、ここ最近はさらに悪化してしまっているように感じます。

そんな中で今回久しぶりに良いイエメンモカを入手することができました。
名産地、マタリとイスマイリに挟まれる地域にあたる「ハイマ」という村で生産されたイエメンモカです。
原種に最も近いとされるイエメンモカらしい小粒で不揃いの豆。でも脂肪分をたっぷりとたくわえ、小粒ながらその味わいはなんともグラマラスなものです。
複雑で妖艶、そのアロマの強さは世界のどのような地域のコーヒーも足元にも及ばないのではないでしょうか。
一般的に流通するコーヒーは大粒であるほど上質とされることが多いのですが、コーヒーの味わいと豆の大きさは必ずしも一致しないということを改めて感じさせてくれます。
(コーヒーの豆の大きさによる規格は、コーヒーを国際流通させる上で便宜上作られたものという側面が強く、大粒豆=美味しい豆というわけではありません)
冷めるとこの芳香は甘い余韻へと変化していき、なんとも飽きることがありません。

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イエメン モカ・ハイマ 中煎り(シティロースト) 100g700円


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