2009年01月15日

嗚呼・・・セントヘレナよ・・・

ホームページ上などではご案内いたしておりますが、スーパープレミアムコーヒーの「セントヘレナ」が輸入中止になってしまいました。
昨年ほぼ1年間待ち続け、ようやく年末になって急遽空輸の知らせが届いた時には、まさに「クリスマスプレゼントだ!」と小躍りして喜んだのもまったくのぬか喜びになってしまいました。
個人的にはこの数年間、スーパープレミアムコーヒーの中でも抜群の香味だと思っておりましただけに、空輸可能の知らせを聞くや否や多くのお客様にもご案内をし、結果的に今回ご迷惑をおかけしてしまったことは、本当に軽率で申し訳なかったと反省いたしております。

何故急遽輸入中止になったかといいますと・・・、
単純に豆の品質が悪かった・・・、ということなんですが、これには少しイワクがあります。
単に今年の出来が悪かった、ということではなく、事情はずっと深刻でした。

セントヘレナのコーヒー産業は非常に小規模なものです。島に広がる農園は5軒のみ。全体の出荷量も1tに満たない極めて僅かなものだけです。
もともと、ナポレオンも島流しにされた大西洋の絶海の孤島というロケーション。現在も唯一の定期便が南アフリカのケープタウンだけ、それも月に1回きりという僻地中の僻地です。
慢性的な労働力不足にここ数年の異常気象がさらに追い討ちをかけていたのも事実。世界最高峰の価格で取引されるとは言っても、島のコーヒー産業は必ずしも順調、というわけではありませんでした。
そんな中で島のコーヒー産業の世話役のような立場であったのがデビット率いるヘンリー一家。
なんと、なんと、このデビットが家族共々、セントヘレナのコーヒー産業に投資されていた資金などを持ったまま夜逃げしてしまっていたとのことなんです。w(゜o゜)w
イギリスの会社などが出資してセントヘレナのコーヒー農園の維持や精製所の運営、またデビットの奥さんが運営する島唯一のホテルなどにも資金供給がされていたようですが、それらのお金を一切合財持って行ってしまったようです。
d1.jpg d2.jpg
写真はいずれもデビット・ヘンリー、左は数年前のものでしまった色男でしたが、たった数年で別人のように太り、顔もなんだか悪人顔に・・・

今回の豆は精製途中でそのまま放棄されたような状態で、これまで多くの方に絶賛いただいてきた、「世界最高峰のコーヒー」「ナポレオンも愛したコーヒー」としてご紹介できるような状態ではありませんでした。
どうせ逃げるにしても、最後までちゃんと仕事してから逃げろよ!(-_-#)と怒髪天を突く心境!?ですが、いかんせんいまさらどうにもできるわけでもなく、あきらめる以外ありません。
それよりも、問題はセントヘレナの貴重なコーヒーがいまや存亡の危機に瀕してしまったことです。
イギリスの出資会社が現在島民に農園と精製所の引継ぎを打診中とのことですが、高齢化と労働力不足に悩む島で果たして可能なのか?不安は尽きません。

これまでブログでも度々お話ししたことがありますが、
コーヒーの品種は原種に近いものになればなるほど、鮮烈で素晴らしい香味を発する場合が多いように思います。
今も最高級コーヒーとして扱われるブルマンやハワイ・コナも品種的にはティピカという原種に近いものですし、ブラジルなどの伝統的な香味はやはり原種に近いブルボン種ならではとおっしゃる関係者は少なくありません。
但し、コーヒーの樹は「他家受粉」と言って同じアラビカ種のコーヒー同士であれば、他の品種との間でも受粉して実をつけてしまい、結果として香味の交雑が進んでいってしまうことになります。
ティピカやブルボンと一言で言っても、コーヒーが世界に伝わっていった時と今では当然香味はかなり変化をしてしまっていることが想像される、ということになるんです。
ブラジルなど世界中の大半の農園内では様々な品種のコーヒーが植えられていますし、仮に農園内で単一の品種しか植えていなかったとしても、地繋がりの環境ですから、まったく他の品種の影響を受けないというわけにはまずいきません。
その点、セントへレナのような絶海の孤島というロケーションは他の地域からの干渉を受けることなく、伝えられたコーヒーの性質をそのまま残すことが可能です。まさに「島」という環境はコーヒー豆にとってタイムマシーンのような存在なんです。しかも厳しい島の自然環境はコーヒーを鍛え、収穫量こそ少ないものの抜群の品質を作り出すことにもつながります。
文献によれば、セントヘレナにコーヒーが伝えられたのは1733年、コーヒーがまさに世界に向けて広がり出した極初期の時期であることが分かっています。
おそらく、それ以来、脈々と伝えられてきた非常に貴重なコーヒーがいまや存亡の危機に瀕しています。

いっそ私が行って農園引き継がせてもらえはしないだろうか・・・!?などとふと思ったりもする今日このごろ・・・。
皆さんもセントヘレナ島のコーヒーの火が消えぬよう、どうか祈ってやってください・・・。


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