2009年04月26日

コーヒーを国で選ぶべきか・・・

当店では国名、産地、農園、品種、精製方法などを明記したコーヒーだけをご案内しています。
店頭に並ぶ1種類の豆を選ぶまでには平均して10数種類のサンプル生豆をテスト焙煎し、実際にその味わいを試す中で決めるようにしています。
そんな風にして年間数百種類にも及ぶ様々な国、地域のコーヒーをチェックしていると、同じ国でも本当に様々な個性のコーヒーがあるということに気付かされます。

店頭でお客様とお話しをする中で、「ブラジルが好きです」とか「コロンビアはあんまり・・・」という反応をよくいただきます。もちろん国によって味わいの大きな系統があるのは事実ですし、一般的に販売されているコーヒーの多くが「ブラジル・サントス」とか「コロンビア・スプレモ」などほとんど国単位での表記しかないものが多く致し方ないというのもわかる気がします。
でも、世界でもトップクラスの繊細な舌を持っているはずの日本人として、また世界有数のコーヒー消費国としても、このようなコーヒーの捉え方はとても残念に思えてなりません。

コーヒー選びの例えとして、よく「お米」を引き合いに出すのですが、まずほとんどの日本人の方は「日本米下さい」というようなお米の買い方はしないはずです。
新潟産とか秋田産などの産地、コシヒカリとかササニシキなどの品種、ちょっとこだわる方ならより詳しい生産地域や生産者情報、精米した日付などもチェックされるのではないでしょうか?
このような細分化された商品情報というのは、高い品質を求める上で必要不可欠のものです。お米を買う場合それぞれの産地・銘柄自体に特別こだわるというのではなくても、そのような商品情報があれば大きな安心感につながるのではないでしょうか?いつ、どこで、誰が、どのように作ったものなのか?このようなことが明確になって初めて品質の向上も図られるのではないかと思うのです。
身近なお米の場合、それが当たり前のことになっていますが、コーヒーの世界ではまだまだそんな単純なことが通用していません・・・。
ブラジル・サントスというのはブラジル、サントス港から出荷された輸出用規格のコーヒーという意味です。NO.2などの表記があればもう少し詳しく、輸出用規格の中でのランクなどがわかりますが、いずれにしてもブラジル中から集められた豆であり、こまかな生産者情報などは知る術もありません。「ブラジル・サントス」というコーヒーは「ストレートコーヒー」の一つとして飲まれるのかもしれませんが、実際にはブラジル中のコーヒーが生豆段階でブレンドされた「ブレンドコーヒー」なんです。

「ブラジル・サントス」のような国中の豆を”ブレンド”した”ストレートコーヒー”には一定の特徴が現れますので、「ブラジルのコーヒーは好き」「コロンビアのコーヒーは嫌い」というような「国別」の好き嫌いが出るのも分かります。
でも本来ブラジルと一言で言っても、国土面積は日本の実に約25倍、コーヒー農家もざっと20万軒以上あります。それぞれの地域で風味は違いますし、農園や品種、栽培・精製環境による違いはさらに大きなものです。
以前コラムでご紹介したように、コーヒーの世界的な流通構造の問題などもあり「国単位」のようなコーヒー豆の流通が主流となってきましたが(詳しくは「スペシャルティコーヒーは何故生まれたのか?@AB」をご参照ください)、この10年ほどの間に状況は大きく変化しています。産地・農園・品種などより細分化され、個性の明確な素晴らしいコーヒーの流通がどんどん増えてきているんです。

それぞれの農園が手塩にかけて育てたコーヒー豆。その一つ一つにはそのコーヒー独自の個性があります。
その一つ一つの個性を楽しむ、評価することこそが農産物としてのコーヒーの最大の魅力になると私どもでは確信していますし、また生産者への礼儀でもあると思うのです。
それは同じ農産物である、お米も、お茶も、ぶどうから作られるワインもみな同じなのではないでしょうか?。
単純にブラジルのコーヒーが好きとか嫌い、ではなく「今年のブラジルのレクレイオ農園は良かったね〜」というお話しをどんどんお客様とできるようになれたらどんなに素敵でしょう!?
たかがコーヒーに、そんなに入れ込んでどうする!?とお叱りの声をいただいてしまうかもしれませんが、基本的なスタンスをこのようなポイントで抑えておけば、何気なく普段飲むコーヒーだって、いつも特別美味しい「最高の一杯」にすることができるのではないかな〜と思うのです。
お客様にお話しする以上に、コーヒーを扱う業者の端くれとして特に自らに自問自答する今日このごろです・・・。


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