2006年08月14日

旬のトマト丸かじりへの道(2)このコーヒーはどこから来たの?

繊細な日本茶を吟味するようにコーヒーを扱おうと心に決めた私だったのですが、話しはそんなに簡単ではありませんでした。
まずコーヒー豆についての情報開示をきちんとしてくれる業者さんを探すことから手をつけてみました。
コーヒーの取り扱いで有名な会社にいくつかあたってみたのですが、まったく話しになりませんでした。いわゆる門前払い。後から考えれば当たり前だったかもしれません、日々数十トン単位で仕事をしているような会社に数十キロ単位での取引をお願いしに行ったのですから…。
また、お話しを聞いてくれた会社の中でも実際に商品情報などを細かに把握している業者さんはあまりいませんでした。
やっとの思いで、ある程度の情報を提供してくれる業者さんから生豆を仕入れることができるようになりほっとしたのもつかの間、またすぐに壁にぶち当たってしまいます。
苦労して商品情報などにも気を配ってみたものの、最終的に出来上がった「一杯のコーヒー」が以前として「ハッするほど美味しい」というレベルには程遠いものだったのです。

当時当店で仕入れたコーヒー豆の銘柄は「ブラジルサントス」「コロンビアスプレモ」「グァテマラSHB」「キリマンジャロ」「ブルーマウンテン」「カロシトラジャ」などです。
例えば、ブラジルサントスには、NO.2、#18という付随情報がありました。NO.2は欠点豆(不良豆)の混入が最も少なく品質が最上級であること、#18は豆のサイズが最も大きいクラスで揃っているということを表します。
当時一般的に日本で流通するブラジルコーヒーの中では最上級とされるもののはずでしたが、必ずしも満足のいくものではありませんでした。
頭をかかえましたが、日本茶の取り扱いに照らし合わせて、考え直してみることにしました。より上質なものを求めるなら、そのお茶が来た道を把握しなければならない。いつ、どこで、誰に、どのようにして栽培され加工されてきているのか、そこを把握していないと、最終的に「美味しい一杯のお茶」は作れません。きまぐれな農産物にはそのくらい細かに目を配っていないと、痛い目に合わされることが本当に多いんです。
コーヒーにも同様のことを求めて様々な業者さんをあたっていたはずなのですが、そもそも例えば「ブラジル・サントス・NO.2・#18」といった商品がその要求をみたすものだったのか?
結論はNOでした。サントスという呼び名は産地ではありません。輸出港のことです。ブラジルサントスというのは輸出用のブラジル豆の総称だったのです。つまり、ブラジル・サントス・NO.2・#18というのは、輸出用のブラジル豆の中で粒が最も大きく、欠点豆が少ないということでした。
つまり、日本の23倍もあるブラジルの中のどの地域の農園で作られていても、どのような品種のものであっても、大きさと欠点豆の混入を低くすれば、ブラジルサントスになるということです。
これはかなり乱暴な話しです。日本中で作られる全ての種類の米を一定の“見た目”の品質で揃えて売ってしまうようなものです。
コーヒーが農産物である限り、その味の個性は仮に同一品種であっても畑一つ、斜面一つ変わっただけでも大きな変化があるはずです。そのような違いが農産物の個性であり、そこがコーヒーや日本茶を含め農産物の一番面白いところだと私は思います。農協米よりも単一の田んぼで作られたお米の方が美味しいし面白いのと全く同じ理屈です。お茶も同じ、ワインはそのような部分を究極の形で突き詰めていることは多くの方がご存知かと思います。
コロンビア・スプレモもグァテマラ・SHBも全く同じ状況で、単に輸出用の規格にすぎませんでした。
結局のところこれらのコーヒーは国は特定できてもどこらか来た豆のなのかさえ特定できない豆だったんです。
このような仕組みはコーヒーが世界的に大量生産、大量消費を前提としたシステムの中にあることから必然的に出来上がってきたものだろうと思います。大量に一定の水準で安定した豆の供給をしようとした場合、それぞれの地域や農園、畑の豆の個性はむしろ邪魔になります。解決策は簡単、できるだけ多くの地域、農園、品種のコーヒーを混ぜて一つの銘柄とすれば、個性は消されて一定になります。ある意味とーっても効率的な考え方ではあるわけです。
一方、ブルーマウンテンやキリマンジャロ、カロシ・トラジャは産地のブランド名であって、豆のサイズの規格すら含まれないものでした。確かにブルマンやトラジャなどは品質の高いものも多くありましたが、情報というよりは伝説という感じで、こちら側が客観的に納得できるような情報は皆無でした。
業者さんにお願いして、さらに詳しい情報を得られるコーヒーを探しましたが、大まかな地域(ブラジルセラード、コロンビアナリーニョ、グァテマラアンティグアなど)や品種(ブルボン、ティピカなど)くらいまではわかるものがちらほら、それ以上のところとなると全くわかりませんでした。それ以上に、担当者さんに嫌がられました・・・。たいして売るわけでもないのにうるさいことばかり言うなということです。そりゃそうです。気持ちはわかります。
完全に行き詰まりました・・・。
行き詰って、悩んで、その後また失敗をしてしまいます。
その失敗とは・・・          つづく


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